サンドバンカーでゴルフスイングを練習する男女
新機能「Athlete Answers」

あなたの「試行錯誤」が、
誰かの「近道」になる。

私たちは、アスリートのリアルな成長記録を共有する新機能「Athlete Answers」を企画中です。 このアイデアを最高の形にするため、あなたの声を聞かせてください。

※ 謝礼(Amazonギフト券3,000円分)をご用意しています。

なぜ、あなたの努力は報われないのか?

多くの挑戦者が、同じ「痛み」を抱えながら孤独に戦っています。

情報の罠

「YouTube見て、本読んで、言われた通り練習してる。なのにスコアは全然縮まらない。『何が間違ってるんだろう?』が、いつの間にか『才能がないのかも』に変わってしまった...」

理想と現実のギャップ

「もう若くないし、飛距離を伸ばすのは無理かな」「仕事と家庭で、これが練習時間の限界だ」「またあの腰が痛み出したらどうしよう...」最高の自分は過去にいるという諦めが、心を蝕んでいませんか?

孤独な試行錯誤

「一人で練習場に通う。『この感覚で合ってる?』『この痛みは大丈夫?』小さな疑問が毎日積み重なって、だんだんモチベーションが削られていく...」

Athlete Answersとは?

磨かれた成功談ではなく、アスリートのリアルな成長の道のり、その全てを共有するプラットフォームです。 失敗、試行錯誤、そしてブレークスルーの瞬間まで。他の誰かの「生々しい練習の記録」が、あなたの「近道」になります。

スター・ストーリー

あなたと全く同じ苦しみを経験した先輩の「生々しい練習日誌」。結果だけでなく、泥臭いプロセスを共有するからこそ、本当に使える教訓が見つかります。

「スコア80の壁を破った週末ゴルファーの全記録」

スライスに悩み続けた3年間の試行錯誤
スコアが停滞した時期のメンタル管理術
ブレークスルーのきっかけとなった練習器具

本人へのQ&A

ストーリーの主人公に「私の場合はどうすれば?」と直接質問。抽象的なアドバイスが、あなただけの具体的な確信に変わる瞬間です。

質問: 「ドライバーのスライスが直りません。練習場で意識すべきことは?」

Akiさんの回答: 「私も同じ悩みでした。最初の1ヶ月はハーフスイングでフェースの向きを確認することだけに集中することを...」

テーマ別コミュニティ

同じストーリーに心を動かされ、同じ目標に向かう仲間が集う安全な港。日々の目標、進捗、そして挫折さえも共有できます。

#目指せ80切り

田中さん: 「Akiさんの失敗談を読んで、自分だけじゃないと勇気が出ました。今日からアプローチ練習見直します。」

ただの趣味から、
“積み上げのスポーツ”へ。
——ゴルフ上達に向き合った僕の2年間

体験者: Aki T.

このストーリーから学べること

  • なんとなく続ける日々を抜け出し、本気で上達する人の“姿勢”と“習慣”
  • 成長が加速する、“記録”と“振り返り”方法
  • ミスを受け入れ、冷静さを保つための思考とメンタルの訓練法

第1章 本気になれなかった日々 - なんとなくの蓄積

ゴルフを最初に始めたのは、小学4年生のとき。ゴルフをしていた母に連れられて行ったのがきっかけだった。中学までは完全に趣味の延長線上で、レッスンはほぼ受けず、全てが自己流。今思えば、その頃からすでに”スイング”というものは自己流で染みつき始めていたのかもしれない。

高校ではゴルフ部に入り、レギュラーとベンチの堺をふらふら。ただ練習に時間を費やすだけで、改善や分析なんて一切していなかった。センスと経験に頼り、戦略性は皆無。スコアはいつも90~98でうろうろし、そうしている間に高校でのゴルフ部生活は終わった。

大学では部活に入らず、実家に帰ったら時々友達とラウンドに行くぐらい。ゴルフをする機会はめっきり減っていた。社会人になってからも、ときどき会社のコンペに出たり、気が向いたときに練習に行ったりする程度。ただ、大学時代の筋トレの影響で、体が出来上がってきたからかスイングが安定し、スコアは88~94に改善していた。

ゴルフ歴は長いのに、相変わらずゴルフと本気で向き合うことはなく、ちゃんとやったことがないまま時間だけが過ぎていた。

コロナ禍の2021年末、ゴルフはパンデミック中もプレイできるスポーツとして人気を集めていた。ちょうどその頃に、多忙を極めていた仕事を辞め、時間に少し余裕ができた。アメリカのアマチュアたちが真剣にゴルフを楽しんだり、世界的なコーチが技術をわかりやすく解説したりするYoutube動画を見ることにハマっていた。

転職してからは在宅勤務中心で、妻と二人暮らし。仕事は転職前と比較するとだいぶ落ち着き、思っていた以上に時間を確保できる環境だった。また、転職先の会社の同僚がゴルフ好きで、彼との定期的な1-on-1ではゴルフ話で盛り上がった。そうしているうちに、ゴルフをまたやりたいという気持ちが沸々と湧いてきた。

第2章 覚悟の芽生え - 現実を突きつけられた衝撃のスイング動画

どうせやるなら、目標を高く持ってみよう。そう思って2022年初夏に掲げたのがスクラッチゴルファーになるという目標だった。スクラッチはハンディキャップ0、つまりアマチュアの中でもトップレベル。これまでただなんとなく続けてきた自分のゴルフに、初めて明確な目標ができた。

目標達成のため、まずは何が必要かを考えた。まずスコアを平均75ぐらいに落とさなければいけない。今のスコアからは10打以上の改善が必要ということだ。まずは75を打てるようにしたかった。また、ゴルフはいかにミスを減らすかが大事なスポーツである。不規則な自然の中でプレーする以上、ミスは避けられない。だからこそ、ミスから生じるダメージをいかに最小限にするかが、スコアを安定させる鍵となる。特に痛いミスは、一打目の大きな曲がりや、ダフって数ヤードしか進まないショット。色々と情報収集を進める中で、それらはいいスイングを身につければ、減らせるはずだという考えに至った。

理想のスイングとは何か?それは、繰り返し行えて、安定した球を出せるスイング軌道やメカニズム。そういった知識や考えが、ようやく自分の中で繋がっていった。まずはスイングを根本から見直そう—心の中でそう決意した。

手始めに、打ちっ放しで試しに自分のスイングを動画に撮ってみた。一番ゴルフをしてた学生時代はまだスマホがなかったため、自分を録画して確認するのはこれが初めてだった。そして、この動画が衝撃的だった。「……ひどすぎる」

そこまでスイングについて詳しくなかった自分でもわかるひどいスイングだった。このときの衝撃は、今でも鮮明に覚えている。素人目にもわかるレベルの“Over the Top”スイング。真上からクラブを叩きつけるようなスイングで、バランスも軌道もぐちゃぐちゃ。角度は鋭角で、クラブヘッドはボールのはるか手前を向いている。素人によくある安定しないスイングだった。

あまりにひどく、自分でも直視できなかった。スイング修正には、しばらく目を背けることにした。「理想的なスイングじゃなくても実はいけんじゃね?」これまでの自分のセンスを信じて、既存のスイングで練習をし続けた。スコア85-87と悪くはなかったが、経験とセンスだけで行うゴルフのスコアは、安定とは程遠かった。

練習を重ねるほどに、ゴルフは楽しくなっていった。でも同時に、「このままではダメだ」と強く感じるようにもなっていた。現状にしがみつくのをやめて、もう一度、自分を変えることにした。ここから、僕の“本気のゴルフ”が始まった。

第3章 技術改善の第一歩 - 捻転とスイング軌道の再設計

自分のどこが悪くて、何が足りなくて、どうなれば理想に近づけるのだろうか…僕がまず行ったのは、ロールモデルを見つけることだった。選んだのは、ローリー・マキロイ。彼のスイング動画を何十回、いや何百回も見た。

スイングを変えていくには、試したことの結果がすぐわかるようにしておきたかった。だから、自分のスイングを動画で撮ることを“当たり前”にすることにした。もともと仕事でも「振り返り」が当たり前だったし、改善のためには記録して見返すことが重要だという感覚は、自分の中にすでに根づいていた。また、プロのスイングを日々見ていた自分としては、「自分はどう映っているんだろう?」という興味も強かった。

まず意識してたのは、体の捻転。以前の動画やスイングでは、上半身があまり回転していない。ゴルフスイングは回転と傾きを同時に生む捻転という動きが大事だが、これまで我流でやってきた僕は捻転の大切さをこのとき初めて知った。

ネットで色々調べたドリルや練習を試行錯誤し、とりあえず捻転をもっと取り入れてみた。捻転をしていない以前のスイング。胸が前に向いており、腕が頭に近い。これはパワーを産めない。捻転を意識し始めたスイング。上半身がもっとカメラに向いており、手と腕が後ろに伸びて頭から離れている。まだ月とスッポンだが、ローリーと似た形になってきた。

捻転を取り入れてから、スイングの形が少しずつ良くなってきた。とはいえ、当然すぐに成果が出るわけではなかった。大幅にスイングを変えたことで、球が当たらない、飛ばない、曲がる。前は当たっていたショットが、今はまともにボールにすら当たらない。「こんなに練習してるのに、前より下手になってるんじゃないか?」そんな不安が何度も頭をよぎった。本当に辛かった。だが、今までと同じ感覚では、今までと同じ結果しか出ない。これに慣れたら今までよりいいことがあると自分に言い聞かせ、この捻転が染み付くまで練習を続けた。

週に2〜3回練習を重ね、2〜3週間が経った頃。ようやく新しい捻転のスイングに、体が慣れてきた。手応えはまだ小さなものだったが、確実に一歩前に進めた気がした。

捻転の動きが少しずつ板についてきた頃、次に気になりはじめたのはテイクアウェイだった。スイングの一番最初、ボールから数センチ動き出すその瞬間。ある海外コーチはこう言っていた。「スイングはすべて、テイクアウェイの反動で決まる」

とても地味だし、そんな一瞬がそこまで重要?と疑ってしまいがちだが、テイクアウェイのスイングへの影響は確かに大きかった。最初の形が整うと、後も安定しやすい。少しずつ、でも確実にあたりが良くなり、ゴルフが更に楽しくなってきた。

僕の試行錯誤はこれだけでは終わらない。この頃から、練習環境にも変化が生まれた。最初はインドアゴルフを利用していたが、モニターのシミュレーションと実際の打感にズレを感じ始め、解約。川口にあるジャンボゴルフやグリーンゴルフに通い詰め、スロー動画でのチェックを繰り返した。

ゴルフに本気で取り組むには、やはりそれなりにお金もかかる。これまで使っていたのは2006年製のクラブだったが、スイングを改善していく中で、限界を感じるようになっていた。そこで思い切って、中古のアイアン・ドライバー・ウッド、新品のパターとウェッジを新調。誕生日を言い訳に、約16万円を自分への投資として決断した。

練習ではダラダラと打つのではなく、1回あたり1000円分(30球ほど。打席料込み)だけに抑え、量より質を重視。毎回、動画撮影→目的を持った練習→振り返りというサイクルを徹底した。高さと角度を意識してスイングを記録するために、バッグに入る軽量三脚も購入。良い当たりは“音”でも判断できたので、動画による可視化は非常に理にかなっていた。

YouTubeで「スライスの直し方」などの動画を見て、自分のスイングと比較し、次回の練習で試す仮説を立てる。そんなサイクルが自然と身についていった。この頃は週に3〜4回練習していたが、家族との時間も大切にしたい思いがあり、1回の練習は移動を含めて1時間程度に抑えていた。

試行錯誤を重ねる中で、いつもこの三つを自問自答していた。ロールモデルに近づいているか?近づけている具体的な点/まだ遠い点はどこか?改善しようとしている動きは、実際に動画に現れているか? 現れていないなら、もっと大胆にやるべきなのでは?

大きな改善に挑むとき、最初はいつも不自然だった。今までの体の使い方とまったく異なるから、違和感も大きい。でも逆に言えば、その違和感こそが“変わろうとしている証拠”だと考えた。だから僕は、その違和感を歓迎するようにしていた。

試行錯誤を続けるうちに、気づけばスマホのフォルダはスイング動画で埋め尽くされていた。そして、少しずつではあるが、「安定した軌道」が体に染み込んできたという感覚があった。良いスイングは、形から始まるまだ完璧には遠いが、この言葉の意味がようやく自分の中で腹落ちし始めていた。

第4章 メンタル革命 - “今”への集中が導いたスコア82

技術面の改善に取り組み始めて数ヶ月。捻転、テイクアウェイ、スイング軌道……変化は確実に起きていた。この時期に出会ったのが、ある一冊の本だった。“Golf is Not a Game of Perfect” = ゴルフは完璧を求めるゲームではない

読んだ瞬間、目からウロコが落ちた。ゴルフは自然の中で行う、不確実性の高いスポーツ。だからこそ、ミスを前提に受け入れ、その上でどう次の一打に集中するかが大切だという考え方に、強く惹かれた。

特に響いたのは、「スコアという未来を考えると、今にいられなくなる」という一節だった。まさに自分の経験と重なる。調子がいいときほど、「このままいければベストが出る」と期待して、結果を意識してミスを連発する。逆に、他人のナイスショットに煽られて「負けてられねー!」と無理をして自滅──そんなことも何度もあった。

本を読んで、ようやく自分が真逆のスタンスでゴルフに向き合っていたことに気づいた。大事なのは、いまこの一打に集中すること。さらに本には、「自分に期待するな」とも書いてあった。振り返りを通して、自分がどれだけ“自分に期待していたか”に気づかされた。

それからのラウンドでは、期待しないように努めた。バーディーを逃しても落胆しない。ミスショットには「あらら、まあしょうがないか」と声に出して、イラッとする感情を打ち消した。すると、不思議なことに心が穏やかになった。怒りや焦りといった感情の起伏が、消えていった。

この本は今でも、ラウンド前に読み返す“人生のバイブル”になっている。ラウンド前に本の要所を読み返すルーティンを決めて、構えるまでの動きを一定に保つショットの直後には結果を気にせず、次のことだけを考える

スイングの安定と、心の安定。この両輪が噛み合い始めたとき、ようやくプレイ全体が変わってきた。そしてついに、82というベストスコアが出た。「この方向で間違っていない」小さな一歩かもしれない。でも、自分の中では大きな確信だった。嬉しかった。

第5章 さらなる深化 - 情報の取捨選択・腰と腕の一体感

練習をするときは、一度にひとつのことしか考えないように意識していた。同時にいくつも変えようとすると、結局どれもうまくいかなくなる。だからこそ、ひとつずつ丁寧に直していくしかない。時間はかかるが、1ピースずつ整えなければ、全体は決してよくならないと感じていた。

スイングがある程度安定してきたタイミングで、次の改善に取りかかった。Youtubeを中心に、パワーの源は何か? フェイスコントロールとは?といったテーマを深掘りしながら、スイングについてさらに勉強を進めていった。

世の中にはゴルフに関する情報が溢れている。YouTubeを見ていると、逆に「何が正しいのか」が分からなくなってくることもあった。だが、あの衝撃的なスイングを変えるには、絆創膏的な応急処置では到底足りないと分かっていた。必要なのは、根本的で、ベーシックな改善だ。

動画の中には、「右手でお皿を持つように」「おしりを壁に押しつけて回る」といった、感覚に訴えるアドバイスも多く登場する。だが、その感覚は人によってまったく異なる。だから僕は、「誰の言うことを信じるか」ではなく、「自分に合うかどうか」を判断基準にした。

練習で試してみて、言っていることの感覚がしっくりこなければ、その情報は潔く切り捨てた。僕は左手の感覚が弱い。だから右手主導で語る人のほうがしっくりくる。そう思って、右手感覚でスイングを語る人の動画を重点的に見るようにした。

そうやって自分なりの感覚軸を掘り下げていく中で、ある一つの発見にたどり着いた。腰と腕の一体感これまで僕は、腰を速く回し、腕は遅れてついてくることでパワーが出ると思っていた。だが、それではタイミングが難しく、崩れやすい。理想としていたローリー・マキロイのスイングは、まったく違っていた。彼は、腰と腕がまるで一つの塊のように、一体となって回転していた。

腰と腕の一体感を意識すると、案の定、強い違和感に襲われた。それでも、腕と腰の分離が減るにつれ、スイングは確実に安定していった。

スコアはまだ80代後半を出すこともあったが、少しずつ下限が底上げされてきた。トーナメントコンディションの西那須野で82を出せたのは、本当に嬉しかった。あの時、「努力が実を結びつつある」と初めて実感できた気がした。

もうひとつ、取り組んだのがトップでの腕の高さだった。ジャスティン・トーマス、ローリー・マキロイ、松山英樹──どのプロを見ても、腕の位置が高い。再現性とパワーの両立には、やはりこの高さが鍵になる。そう直感して、すぐに試してみた。当然ながら、これも強烈な違和感があった。

調べていくうちに、腕を高く構えることで腕と胸の一体感が保たれ、大きなアークを描くスイングができると知った。それが再現性とパワーの両立につながるという。少しずつ、この「高いトップ」の感覚を体に染み込ませていった。

そして──ある日、そのふたつの改善が噛み合ったラウンドが訪れた。スコア79人生で初めての80切りだった。嬉しかった。この日は”ひとり予約”のラウンドで、知らない人たちとの組み合わせ。少し緊張していたが、リズムを崩さず、プレッシャーにも負けず、プレイをやりきることができた。メンタル面のトレーニングが、確実に活きていたと感じた。

第6章 データで考えるゴルフ - 記録と戦略の導入

80切りを達成したことで、ようやく「スタートラインに立てた」と感じた。スイングは安定し、精神面も崩れなくなってきた。だが、現実はそう甘くない。その後のラウンドでは、80をギリギリ切れなかったり、大きく崩したりする日もあった。

ここからは「感覚だけでは超えられない壁」があると感じた。そこで導入したのが、データを使った記録と戦略のゴルフだった。

この頃、Youtubeのゴルフコンテンツはさらに進化していた。ただプレイしているだけの動画ではなく、プロの戦略を分析した解説系コンテンツが増えていた。プロたちはコースをどう攻略しているのか?、どうミスを回避しているのか?、プロがよく言う「カバーナンバー」とはなにか?…こうした視点を持つことで、ゴルフは単なる技術のスポーツではなく、戦略のゲームでもあることに気づかされるようになった。

特に印象的だったのが、「三角理論」だった。ショットのブレは三角形のように分散する。飛距離が伸びれば、その三角形も大きくなる。200ヤード先を狙うということは、左右30ヤードのズレを許容するということ。だからこそミスしてもOBや池にかからない “安全な方向” にターゲットをずらす。完璧なショットを狙うのではなく、「ミスしても生き残れる場所」を選ぶ。それが、プロのマネジメントだった。

ゴルフというスポーツの奥深さに、どんどんと引き込まれていった。とはいえ、戦略を学んだからといって、すぐにスコアが伸びるわけではなかった。実際のラウンドでは、思ったより簡単に判断ミスをしてしまうし、狙った通りに打てるとも限らない。ただ、「なぜうまくいかなかったのか」「どこで判断を誤ったのか」ということは、徐々に見えるようになってきた。

この頃から、NotionやGrowinを使ってすべてのラウンドを記録し始めた。スコア、ショット内容、ミスの傾向、判断理由……。振り返る習慣を持つことで、プレーの精度が少しずつ変わっていった。

それまで「8番アイアンは150ヤード」といった感覚頼みだった飛距離管理も、しっかり平均値を取り、記録するようにした。ハーフスイングや3/4スイングといった調整ショットも取り入れ始めた。自分は飛距離が長い、というこれまでのプライドを手放し、現実を受け入れることができた。

また、ラウンドごとに良かった点・悪かった点・雑感・次回に向けた学びを残すようにした。特に意識していたのが、必ず「良かったこと」を最初に書くこと。悪かったところや反省点はいくらでも出てくる。だからこそ、どんなにスコアが悪くても、たとえ一つでも「良かった」と思えること(例:「◯番ホールの2打目はイメージ通りだった」「前より少し◯◯ができるようになった」)を最初に書くことで、自分が前に進んでいる感覚を意図的に作っていた。

この習慣は、自分にとって想像以上に良い影響をもたらした。スコアが劇的に改善したわけではない。だが、なぜそのホールを落としたのかが、クリアに見えるようになってきた。改善点が明確になることで、目指すのは偶然のナイスショットではなくなった。それよりも“再現性のあるナイス判断”。そう考えられるようになったことで、ラウンドの振り返りが、成長の羅針盤になっていった。

第7章 積み重ねの証明 - 自己ベスト75と安定への道

スイングが安定してきた感覚はあった。だが、まだどこかが違う。この頃には、目標としていたローリー・マキロイのスイングは、自分の体格や柔軟性では再現が難しいと悟っていた。それでも、どこかに「自分のスイングは、まだ“根本的に”何かが違う」という引っかかりがあった。

そんな中、クラブのライ角の調整で相談していたフィッターさんが、ふとこう言った。「腕をもっと下ろさないと」

正直、最初はピンとこなかった。「ちゃんと腕は振ってるし、“ボールに向かって” 下ろしてるつもりだけど?」——そう思った。だが調べていくうちに、驚くべき事実にたどり着いた。ゴルフスイングには、巨大な“錯覚”がある。クラブは、斜めにボールへと向かっていく。だから腕もボールへと“振っている”ように見える。しかし実際はそうではない。あの動きは、身体の捻転の結果としてクラブがそう見えるだけだった。

つまり本当にやるべきことは腕をまっすぐ“下”に下ろしながら、体を回すこと。何百回も動画で見てきた“理想のインパクトのかたち”は、まったく別の動きで作られていたのだった。

この日から、「腕は下、体は回す」という動きを叩き込む日々が始まった。当然、簡単にはいかなかった。数ヶ月かけても慣れなかった。強烈な違和感があり、スコアにも悪影響が出た。それでも、思っていた。「絶対この方向で間違っていない」

練習を重ね、慣れるまでには約3ヶ月を要した。新しい動きを身につけようとすれば、他の部分にも影響が出る。でもそれはしょうがない、全部が変わっていくのは当然だと割り切っていた。

練習はいつも一人で黙々と行っていた。けれど、家に帰ると妻にスイングのビフォーアフター動画を見せては、「ここがこう変わってるでしょ」と説明した。他の人から見ても変化が伝わることを、自分の中でも確認したかった。ゴルフ仲間とのラウンドでは、「めっちゃ変わったな」「めっちゃうまくなったな」と声をかけられた。それが何よりも大きな励みになった。

少しずつ、クラブが“自然に”理想の軌道を描く感覚が掴めてきた。これまで「意識してやっていたこと」が、「無意識に再現できる動き」へと変わりつつあった。

ちょうどその頃、80切りを定期的にできるようにしたいと本気で思い始めていた。そんな中、友人と回ったあるラウンドで自己ベスト 75人生初の快挙だった。

この日は、ラウンド中はスコアを数えないように意識していた。“今”に集中し、“次の一打”だけを考える。あの本の言葉を、ただただ意識し実践し続けた。ラウンドが終わり、スコアカードを見たとき初めて、今日の結果を知った。「キタキタキター!!!」心の中で叫んだ。驚きと、喜びと、そして静かな達成感が押し寄せた。

同じ組で回っていた友人は、かつてはよく競い合っていた存在。その彼が90台を出し、自分は75。この差は、運でもセンスでもない。2年以上の積み重ねだった。試行錯誤を繰り返し、動画を見て、振り返って、修正してきた。遠回りに見えても、「やってきたことは間違っていなかった」と、初めて確信できた。

この日を境に、スコアは全体的に安定し始めた。もちろん、コースによっては崩れる日もあるが、全体としては「80前後でまとめられる」力がついてきた。スイングもだいぶ染み付いてきて、安定性が昔に比べてかなり上がった。

これまでの長い停滞を、ついに打破できたと感じた。2年以上かけて積み上げてきた努力が、ようやく身を結んだ。

第8章 継続への再設計 - ブランク明けの再構築

2024年の終わり。引っ越し、新しい犬との暮らし、そして仕事の変化──自分の生活が大きく変わり、5ヶ月間まったくクラブを握らない時期が生まれた。

久しぶりにクラブを手にしたとき、驚いた。スイングがまるで”別人”になっていた。染み込んでいたはずの感覚が抜け落ち、当たりも方向もバラバラ。クラブの重ささえ、どこかしっくりこない。“体が忘れる”とは、まさにこのことだった。

「あれ、こんなに振れなかったっけ?」以前とまったく違う体の反応に、思わず戸惑いと焦りを覚えた。これまで積み上げてきたものが、崩れてしまったような感覚だった。

だが、3ラウンド目で自己ベストタイの75。「またここまで戻ってこれた」そう思えた瞬間、体の奥から嬉しさが込み上げてきた。

現在のハンディキャップは5.9。目標に掲げたスクラッチには、まだ少し距離がある。でも、かつての自分からすれば、“憧れの景色”の中に、確かに近づいていると感じる。今年の目標はアンダーパーのハーフを出すこと。そして、自己ベストを更新すること。

もう、あの頃の“下手だった自分”には戻らない。でも、満足して立ち止まる自分にも、なりたくない。スクラッチゴルファーという夢を叶えるまで、僕の改善の旅は、きっとこれからも続いていくのだと思う。

あとがき - 本気で取り組んだからこそ、伝えたいこと

「アスリート・アンサー」のコンセプトを初めて聞いたとき、すごくいいなと思いました。自分の話は少し特殊かもしれないし、どこまで参考になるかわからない。でも、もしこのストーリーが、誰かが「ゴルフをもっと本気でやってみよう」と思うきっかけになってくれたら、それ以上に嬉しいことはありません。

ゴルフって、ただプレイしているだけでも十分楽しいスポーツです。でも、コースでイメージ通りの球が打てた瞬間や、アイアンの芯でボールを潰せたときのあの感触と音には、やっぱり格別の喜びがあります。それがたまらなくて、もっと上手くなりたいと思う。上手くなればなるほど、楽しさもどんどん広がっていく。それを僕は、この数年で強く実感しました。

ゴルフは、生涯続けられるスポーツです。時間をかけて、少しずつうまくなれる。その過程を楽しめる人にとって、これほど面白いものはないと思っています。僕自身、もう大学〜社会人初期のように「ゴルフをしない時期」は、一生来ないと思います。

このストーリーを読んでくださった方には、「スコアなんて関係ない、うまくなりたい気持ちがあれば誰でも仲間になれる」ということを伝えたいです。80切りを目指していても、120切りを目標にしていてもいい。本気でうまくなりたい、そう思って取り組んでいる人たちと、僕はGrowinを通してもっと繋がりたいし、一緒にゴルフを楽しみたい。

過去の自分に、もし一言伝えられるとしたらこう言います。「なにかに本気で取り組むのって、確かにしんどい。けど、めちゃくちゃ楽しいぞ!積み上げた時間は、必ず自信になる。だから臆せず、信じて、やり続けてほしい」

僕の「アスリート・アンサーストーリー」が、誰かにとって踏み出す1歩になれば嬉しいです。

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インタビューの内容(約30分)

  • • あなたが感じている「停滞」の具体的な内容
  • • これまで試した練習法や情報源について
  • • Athlete Answersのコンセプトへの率直な感想
  • • 理想的な学習体験についてのご意見

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